【不動産投資】気になる物件の机上調査(7)その他・備考欄

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【不動産投資】気になる物件の机上調査(7)その他・備考欄
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本記事は、【不動産投資】気になる物件の机上調査 ⑥
https://lounge.dmm.com/detail/8268/content/41553/
の続きです。

これまでに、物件概要書の総論、エリア、建物、レントロール、土地、法令上の制限、電気ガス水道について詳細に解説してきました。

今回は、物件図面や概要書の「その他」「備考」欄に記載される項目ついて解説します。
一見すると付け足しのような扱いをされていますが、実は不動産投資の成否に大きく関わる、“本当の注意書き”が隠されている部分です。

物件購入前に、数字や利回りだけでなく、“小さく書かれた一文”の意味を正しく読み取れるかどうかが、思わぬリスク回避や将来のトラブル防止に直結します。


よくある「その他」欄・備考欄の内容

1. 現況・契約関係

現況:満室賃貸中/賃貸中/空室/オーナー居住中

引渡:現況有姿/即時/要相談/時期指定

オーナーチェンジ物件(賃貸中で契約継続)

定期借家契約(更新不可)

賃料保証契約あり(サブリース)

管理会社継続条件

契約不適合責任免責

売主による是正義務なし

売主指定の司法書士あり


2. 建物・敷地に関する特記事項

境界非明示・越境の可能性あり

境界未確定(要確定測量)

測量図あり(地積測量図・確定測量図)

境界杭あり/隣地と境界確定済

インスペクション済(建物診断実施済)

再建築不可(接道義務未達)

セットバック要

違反建築の可能性あり

建ぺい率・容積率超過(既存不適格)

高度地区・風致地区・景観地区指定あり

準防火地域・防火地域内

建築協定区域内(建物高さや色彩指定)


3. 修繕・管理関係

大規模修繕実施済(例:外壁塗装・屋上防水)

設備交換履歴(例:給湯器・水回り)

駐車場・駐輪場の台数・収入

屋上アンテナ収入(携帯基地局収入)

自販機収入

町内会費・管理組合費別途あり


4. インフラ・設備系

電気:東京電力/オール電化/共用分電方式

都市ガス/プロパンガス

水道:公営/私設/井戸/要引込

本下水/浄化槽/簡易水洗

→ コンテンツ「【不動産投資】気になる物件の机上調査(6)電気・ガス・水道」で解説済

https://lounge.dmm.com/detail/8268/content/41553/


5. 告知事項あり


6. その他コメント的な表現

家賃設定自由(空室で賃料未設定)

現状利回り〇〇%、満室想定利回り〇〇%

ペット飼育可/楽器演奏可

民泊不可/民泊利用中(特区民泊など)

賃借人入居中/立退き交渉中

賃貸借契約書・更新履歴あり

建築確認番号あり(建物検査済)

契約不適合責任免責


物件図面の末尾には「その他」「備考」といった形で、不動産の基本情報には現れにくい、”注意書き”のような情報が添えられていることがあります。

これらは収益性やトラブルリスクに直結する項目であることも多く、見落とし厳禁です。



1. 現況・契約関係

物件図面の「その他」欄には、現況と引渡は独立した項目になり、それ以外が「備考」に書かれていることが多いです。


現況

満室賃貸中/賃貸中/空室/オーナー居住中。


満室賃貸中:すべての部屋に入居者がいる状態。単に「賃貸中」と書かれることが多いですが、アピールのために「満室賃貸中」と記載されることがあります。表面利回りも見かけ上高くなりますが、注意が必要なのは「その賃料が本当に適正かどうか」「この満室が今後も継続できるかどうか」です。


賃貸中:1部屋でも入居していれば「賃貸中」と書かれることがあります。つまり“何戸中何戸が入居中なのか”は、この記載だけでは分かりません。詳細な空室率や入居状況の内訳は、レントロールで確認しましょう。


空室:基本的に全室空室を指します。つまり家賃収入はゼロですが、逆に自分で賃料を自由に設定できる、設備を刷新してブランディングできるといった戦略の自由度が高く、経験者にとっては“自分色に染められる素材”ともいえます。


オーナー居住中:物件の一部、もしくは全部に所有者が住んでいるケースです。入居者への引き渡しには退去が必要で、実需(マイホーム用)として販売されていることもあります。投資目的での購入には注意が必要で、引き渡し条件なども要確認です。



「満室賃貸中」でも安心とは限らない

「満室」と書いてあると、つい安心しがちですが、以下のようなリスクを見逃してはいけません。


割高な家賃設定で無理に満室にしているケース:例えば、広告費やフリーレントを使って強引に埋めた場合、入居期間が短く、退去が続いて再び空室だらけになるリスクがあります。

短期契約・定期借家が多いケース:満室でも、定期借家契約で再契約できない場合は、すぐに空室になる可能性があります。契約書で「更新の可否」も確認しましょう。

レントロールの“ふかし”:レントロールに記載された家賃が相場より明らかに高すぎる場合、売主が物件価格を釣り上げるために「短期的に高く貸している」可能性があります。このような場合、購入後すぐに退去が続く、家賃を下げないと埋まらないなどのトラブルに直結することも普通にあります。

「今の入居者が退去したら次はいくらで貸せるか」視点で、想定満室賃料を割り出して利回りを計算しましょう。


詳細はレントロールで確認しましょう。

保証会社の有無・滞納歴の有無はレントロールに書かれていないこともあるので、別途確認が必要です。

参考:【不動産投資】気になる物件の机上調査(3)レントロール分析

https://lounge.dmm.com/detail/8268/content/41138/



「空室物件」の魅力とリスク

空室物件には以下のような投資家目線でのメリットも存在します。

・自分で家賃を設定できる

・差別化リフォームがしやすい

・買い手が付きにくいため指値が通りやすい


一方で、次のようなリスクがあります。

・「満室にできる」という目算が甘いと、長期空室に悩まされる。

・地域相場を誤って高めに家賃設定してしまうと、空室が長期化。

・空室期間中は当然収入ゼロだが、固定資産税や管理費などの支出は発生。


そのため、入居付けの戦略と自信がある人向けです。

全空物件は買い手が付きにくく、「自分なら満室にできる」と確信できる場合は、掘り出し物になる可能性があります。



引渡

即時/要相談/時期指定(〇年〇月)/現況有姿


「引渡」の記載は、物件の購入後にいつ・どの状態で所有権を取得できるかを示す重要な情報です。不動産投資では、“いつから賃料が入るか”というキャッシュフローの起点にも直結するため、慎重に確認する必要があります。


① 引渡:即時(即引渡可)

もっともスムーズなパターンです。契約締結後、決済・所有権移転登記が完了すればすぐに引き渡し可能となります。


② 引渡:要相談

一番注意が必要な表記です。書き方としては非常に曖昧であり、裏に何かしらの事情があることが多いです。

よくあるケース:

売主がまだ居住中で、退去先が決まっていない。

事業用ビルなどで、テナントの退去交渉中。

相続・登記手続きが完了していない(共有名義など)。

建物の解体や造成を予定しているが、工事スケジュールが未定。


要注意ポイント:

契約後に長期間引渡がされず、資金だけ拘束されることがある。

決済日が確定しないと、融資の実行やリフォーム手配が進められない。

担保付き物件の場合、金融機関の抹消準備ができていないこともある。

→ 具体的な引渡予定日を売主と交渉し、「○年○月末までに引渡」「引渡期限遅延時の違約金」などを契約書に明記しておくと安心です。


③ 引渡:時期指定(例:令和◯年◯月末予定)

「要相談」と違って、ある程度引渡日が明確になっているパターンです。売主の退去、解体、工事完了、相続手続きなどが前提になっていることが多いです。

注意点:

「令和◯年◯月予定」と書かれていても、ずれ込む可能性がある。

融資実行日と引渡日が離れすぎていると、融資特約に影響が出ることも。

登記手続きの遅れや、権利関係の調整不備で遅延するリスクも。


④ 引渡:現況有姿渡し

①~③は引渡の時期を指すものですが、「現状有姿渡し」は状態を指します。引渡欄に記載されることがあるのでここにまとめます。

これは「現況のまま、何も直さずそのまま引き渡します」という意味で、裏を返せば「買主が現況のすべてを受け入れる」という前提の契約です。


多くの場合、契約不適合責任免責とセットで記載されており、「建物に不具合があっても、それに文句を言わないでね」という売主側の意思表示になります。


契約不適合責任免責とは?

建物に重大な欠陥(雨漏り、シロアリ、基礎クラックなど)があっても、売主に補修や損害賠償を請求できない契約です。2010年代までは「瑕疵担保責任免責」と書かれていましたが、民法改正後は「契約不適合責任免責」と表記されます。

瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについては、別のコンテンツで解説します。


現況有姿渡し×契約不適合責任免責の組み合わせ

このパターンは、築古・残置物あり・メンテナンス未実施の物件に多く見られます。再建築やリフォームを前提に取得するのであればよいですが、収益物件として即稼働させたい場合は、リスクがあります。

売る側としては売った後に色々言われては困りますが、買う側としては買った後にトラブルが多いと困ります。

現況有姿渡し×契約不適合責任免責の物件を買うなら、ある程度のリスクを受け入れて買いましょう。


注意すべきケース:

雨漏りが放置されている屋上防水未施工のRC

給排水管の劣化が進んだ築古アパート

越境・未接道など、土地の法的トラブルが潜んでいる


対応策:

必ず建築士やリフォーム業者と現地確認を行い、修繕費を見積もる。

買付時点で、「このままでは買えません」と交渉材料に使う。

設備チェックリストをもとに、契約時に「設備表の現況維持」条項を追加しておくのも有効。



賃料保証契約あり(サブリース)

不動産会社(サブリース会社)がオーナーから物件を一括借り上げし、入居者に転貸する形態です。

これにより、空室の有無にかかわらず、オーナーに一定の賃料が支払われるという仕組みですが…表面上は「空室リスクゼロの安定収入」と見える一方、実際には注意すべき点が非常に多く、“見かけの安心”に騙されてはいけない典型例です。


サブリース契約のリスクについては別コンテンツで解説予定ですが、注意点を簡単に解説します。


サブリース契約では、以下のような落とし穴があります。

・賃料減額リスク(ほぼ確実にある)

物件図面に「賃料保証10年」などと書いてあっても、契約書には“2年ごとの賃料見直し”条項があることがほとんどです。


・契約解除が難しい or 高コスト

サブリース契約を「自分の代で解除して、自主管理に切り替えよう」と思っても、「6ヶ月前通告が必要」「違約金〇か月分支払い」「契約期間中の途中解約は原則不可」などの不利な条件が契約書に盛り込まれていることが一般的です。


サブリースの場合、物件所有者(賃貸人)とサブリース業者(転貸人)のうち、借地借家法で保護されるのは借主であるサブリース業者の方です。

サブリース契約は一度契約してまうと不利な契約で、大家としての実力も上がらないので、できるだけ避けるのが無難です。


サブリース契約が自動継承されるケースに要注意

売買契約と同時に、サブリース契約も自動的に引き継がされる物件があります。

物件図面に「賃料保証契約あり(引継要)」と書かれている場合、契約内容の確認は必須。内容が分からない場合は、購入前に必ずサブリース契約書の写しをもらい、すべての条件(減額・解除・期間)を確認しましょう。

基本的には、サブリース契約の継承が条件の物件は見送りが無難です。

「サブリース契約中・解除して引渡し」という物件もあり、これは買っても大丈夫です。



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