【個別株投資】ROEを考える

テキスト

【個別株投資】ROEを考える

サロン会員:無料

サロン非会員:220円


投資を勉強していると、よく聞くフレーズがあります。


「高ROEの銘柄を買え」


この言葉を見たり聞いたりしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、ROEは投資指標の中でも非常に有名ですし、「企業の収益性を測る重要なもの」とされています。

しかし、結論から言えば「高ROEの銘柄を買えば儲かる」というのは間違いです。


本コンテンツでは、ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)といった財務指標の本質や限界を知り、どう付き合っていけばよいかについて解説していきます。


・ROEとは?

・ROEを分解する

・ROEとPER, PBRの関係

・ROEの注意点

 - ROEでは「割安・割高」は分からない

 - 高ROE銘柄を買っても儲からない

 - 高ROE→自己資本が低いだけという可能性

 - ROEを維持し続けるのは難しい

・ROEを高めるには?

・ROEよりROAの方が本質的

・ROEもROAも現在値より変化が大事

・ROICなどは別のコンテンツで



ROEとは?

ROE(Return on Equity)は、自己資本を使って企業がどれだけ利益を稼いだかを示す指標です。


計算式は以下の通り:

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本


貸借対照表では、「自己資本」という項目はありません。

貸借対照表の「純資産」とは、① 株主資本(資本金+資本剰余金+利益剰余金+自己株式)、② 評価・換算差額(その他の包括利益累計額)、③ 新株予約権、④ 非支配株主持分の合計です。


ROEの計算で用いる「自己資本」は、

① 株主資本+② 評価・換算差額(その他の包括利益累計額)の合計とするのが一般的です。


② 評価・換算差額(その他の包括利益累計額)は、企業がまだ実現していない損益(=未実現損益)を計上する項目です。

代表的なものとして、以下のような内容が含まれます:

その他有価証券評価差額金 → 売却していない保有株式等の含み損益

為替換算調整勘定 → 海外子会社の財務諸表を円換算した際の差額

繰延ヘッジ損益 → デリバティブ取引による損益のうち、将来に繰り延べるもの

退職給付に係る調整額 → 年金債務等に関連する評価差

これらはいずれも企業活動によって現金化された利益ではなく、評価上の変動によるものです。



例えば、自己資本100億円の企業が10億円の純利益を上げた場合、ROEは10%になります。


これは「株主が出したお金を、経営者がどれだけ効率よく回してくれたか」を示しており、理論的には高い方がよいとされます。

日本の上場企業ではROE 8%を目指そうと言われており、概ね10%を超えると「高ROE企業」と評価されやすくなります。



ROEを分解する

ROE(自己資本利益率)は「株主が出資した資本を使って、企業がどれだけ利益を出せたか」を示す重要な指標です。


ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本


ただし、この1行だけでは「なぜその企業のROEが高いのか?」「改善すべきはどこか?」という判断は難しいです。

そこで、ROEの構造を3つの要素に分解して考える方法があります。


■ ROEの3分解式

ROEは以下のように分解できます:

ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ


具体的には、次の式です:

ROE =(当期純利益 ÷ 売上高)×(売上高 ÷ 総資産)×(総資産 ÷ 自己資本)


① 売上高純利益率(=収益性)

当期純利益 ÷ 売上高

企業が売上からどれだけ最終的に利益を残しているかを表します。

コスト構造や価格競争力、税負担なども含めた最終的な利益率です。

高い場合 → 利益率が高い、ビジネスモデルが強い

低い場合 → 価格競争やコスト構造に課題


② 総資産回転率(=効率性)

売上高 ÷ 総資産

企業がどれだけ効率的に資産を回転させて売上を上げているかを示します。

在庫の回転や設備投資の効率などが影響します。

高い場合 → 資産効率が高い(軽資産ビジネス)

低い場合 → 資産が重く、回転が遅い(製造業などに多い)


③ 財務レバレッジ(=資本構成)

総資産 ÷ 自己資本

どれだけ借入などの他人資本を使って自己資本の効率を高めているかを表します。

自己資本比率の逆数と考えると分かりやすいです。

高い場合 → 借入を活用して少ない資本で経営している(レバレッジが効いている)

低い場合 → 自己資本が厚く、安全志向の経営

※レバレッジを効かせすぎると財務リスクが高まるので要注意。


ROEをこの3要素に分解すると、次のような分析ができます。

利益率が高いがROEが低い → 資産の効率やレバレッジが課題

回転率が高くROEも高い → 効率的な経営ができている

レバレッジ頼みの高ROE → 財務リスクを抱えている可能性あり


つまり、ROEの高さを「良い」と決めつけるのではなく、どうやってそのROEが生み出されているのかを読み解くことで、企業の本質やリスクに気づくことができます。


しかしこのROEを3つに分解する式はよくできていますが、鵜呑みにするのもよくありません。


以前にTwitterで見たポストで秀逸なものがありました。


"数学の素養がない人にとっては目から鱗の魔法みたいに見えるらしいですね。前に友人がこんな式を作って「トイレ使用率を上げればROEが上がる」とか言っていたのを思い出しました。"


引用:弁護士 関口 郷思(せきぐち さとし)さんのツイート。

https://x.com/sekiguchisatosh/status/1810894328191144116



ROE=売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジという式からは、

・利益率を改善しよう!

・売り上げを上げよう!

・レバレッジを使ってガンガン稼ごう!

という3要素に分解しているだけで、実際はただ稼ごうぜと言っているのに等しいです。



ROEとPER, PBRの関係

まずは各指標の定義から確認しましょう。

ROE(自己資本利益率)= 当期純利益 ÷ 自己資本

PER(株価収益率)= 株価 ÷ EPS(1株あたり純利益)

PBR(株価純資産倍率)= 株価 ÷ BPS(1株あたり純資産)


これらはすべて、「企業の稼ぐ力」や「株価の割安度」を見るための重要な指標ですが、実はPBR・PER・ROEには数学的な関係式があります。


PBR・PER・ROEの関係は、以下のように整理できます:

PBR = ROE × PER

続きを表示するには、入会が必要です

医療従事者・医学生限定「お金と資産運用がわかる」

ご入会手続き中に完売することもございます。


販売価格 入会料金 入会/詳細
入会後無料
※退会後閲覧不可 詳細はこちら

660円/1ヶ月ごと

入会する

サロンに入会中または購入済みの方はこちら

続きを閲覧するには、DMMアカウントへのログインが必要です。

サロンに入会せず続きを見る

販売価格 入会/詳細
220円

購入する


フォロー特典

オンラインサロン情報

医療従事者・医学生限定「お金と資産運用がわかる」

医療従事者・医学生限定「お金と資産運用がわかる」

660円/1ヶ月ごと
サロンページを見る

サロン紹介

医療従事者・医学生がお金・資産運用、投資について気軽に話し、仲間を作れる場です。資産運用、個別株投資、不動産投資からキャリア、副業まで幅広いトピックを用意しています。
運営ツール
DMMオンラインサロン専用コミュニティ

あなたにおすすめの他サロン

おすすめサロンをすべて見る
ページトップに戻る